会社や事業所の場所が変わることになったとき、市役所に何を出せばいいのか分からず、手が止まることがあります。「移転届」で調べても出てくるのは住民票の手続きばかりで、法人の届出になかなかたどり着かないこともあります。
地域情報メディア『あつぎロケーション』のさくらこです。行政の手続き記事を書くときは、まず窓口へ何を持っていけばいいかから確認する癖があります。
この記事では、法人や事業所が所在地を変える場合に、市役所への届出がどう変わるか、登記や税務署の手続きが必要になるかを順番に整理します。個人の引っ越しの場合は、別の記事でまとめています。
「移転届」という言葉だけでは決まらない手続き
「移転届」という言葉は、個人の引っ越しを指す場合と、法人や事業所の所在地変更を指す場合の両方で使われています。同じ言葉でも中身はまったく別物です。
個人の引っ越しで「移転届」を探している場合は、住民票の手続きでは転入届・転出届・転居届のいずれかを使います。厚木市への転入・転出・転居については、住民票の移し方をまとめた記事で詳しく整理しています。
ここから先は、会社や法人の本店・支店・事業所を移転する場合にしぼって整理します。個人事業主の事業所移転は制度が異なるため、この記事の対象外としています。
法人の移転で最初に確認したいこと
見落としやすいのが、市役所へ届出を一枚出せば移転の手続きが終わると思い込んでしまうことです。実際には、届出の中身や必要な手続き先が移転のパターンによって変わります。
知人の経営者から、市役所への届出だけで済ませたつもりが、あとから登記や税務署の手続きが残っていたと聞いたことがあります。慌てて動く羽目になったそうです。
厚木市内での移転か、市外からの転入か、市外への転出かで手続きが変わります。
本店所在地の変更にあたるかどうかで、必要な書類が変わります。
法務局や税務署、年金事務所への届出が必要になる場合があります。
市役所への届出は移転パターンで変わる
厚木市では、法人に異動が生じた場合、事実発生日から三十日以内に市民税課へ届出をする決まりになっています。移転のパターンによって使う書類が違います。
市外から厚木市へ本店を移す場合は「法人設立・開設届出書」、厚木市から市外へ本店を移す場合や所在地を変更する場合は「事業年度・納税地・その他の変更・異動届出書」を使います。
| 移転のパターン | 使う届出書 |
|---|---|
| 市外から厚木市へ本店を移す | 法人設立・開設届出書 |
| 厚木市から市外へ本店を移す | 事業年度・納税地・その他の変更・異動届出書 |
| 厚木市内で所在地を変える | 事業年度・納税地・その他の変更・異動届出書 |
この変更・異動届出書は神奈川県内で統一された様式です。一枚の中に税務署用、県税事務所用、市町村用の三ページが含まれています。
市内での移転で気をつけたい点
よく迷うのが、厚木市内での移転にどこまで書類が必要になるかという点です。ここは登記事項の変更にあたるかどうかで扱いが分かれます。
- 所在地の変更にあたる移転
-
登記事項の変更にあたるため、届出には登記簿謄本の添付が必要です。
- 事務所や寮だけの市内移転
-
厚木市内にある事務所や寮が市内の別の場所へ移る場合は、添付書類は不要とされています。
本店所在地そのものの変更なのか、支店や事務所だけの移転なのかで、添付書類の扱いが変わってくるんですよね。迷ったときは市民税課へ確認しておくと安心です。
本店移転は登記の手続きも必要になる
本店の所在地が変わる場合、市役所への届出とは別に、法務局での登記の手続きが必要になります。市民税課の届出だけで完結するわけではありません。
本店そのものを移転する場合は登記が必要で、移転の日から二週間以内に申請する決まりになっています。支店や事業所だけの移転など、登記にあたるか判断しにくい場合は法務局や専門家へ確認したほうが後々の手間を減らせます。
商業・法人登記の窓口は厚木市内とは限らない
意外と知られていないのですが、厚木市内には横浜地方法務局厚木支局がありますが、商業・法人登記の申請はここでは扱っていません。
厚木支局で扱っているのは、証明書交付や印鑑提出、印鑑カード、電子認証に関する事務です。登記申請の管轄登記所は湘南支局になります。
さくらこ厚木支局に行けば済むと思い込みやすいので注意です
神奈川県内では、横浜市と川崎市以外の会社・法人の商業・法人登記を湘南支局が管轄しています。厚木市の会社もこの区分にあたります。申請前に管轄を確認しておくと、二度手間を防げます。
税務署や県税事務所への届出も忘れずに
市役所や法務局のほかに、税務署や県税事務所への届出が必要になる場合があります。会社の状況によって必要な書類が変わってくる部分です。
先ほどの変更・異動届出書は、税務署用と県税事務所用のページも一枚にまとまった様式でした。まとめて確認しておくと動きやすいです。
適用事業所は年金事務所も確認する
健康保険・厚生年金保険の適用事業所が移転する場合、日本年金機構への届出も必要になります。管轄の年金事務所が変わるかどうかにかかわらず対象になる点に注意したいところです。
届出には「適用事業所名称・所在地変更(訂正)届」を使い、事実発生から五日以内に提出します。管轄が変わる場合と変わらない場合とで、提出先や必要書類が一部異なります。
個人事業主の移転は別の手続きになる
ここまでは会社や法人の移転を前提に整理してきました。個人事業主が事業所を移す場合は、法人とは別の手続きになります。
個人事業主の納税地の手続きは、法人とは仕組みが異なります。法人向けの手続きをそのまま当てはめないよう注意してくださいね。
移転前に提出先をまとめておく
ここまでの内容を、移転前に確認しておきたい提出先としてまとめておきます。会社の状況によって該当する項目は変わります。
- 厚木市役所市民税課(法人の異動届出)
- 法務局湘南支局(本店移転の登記)
- 税務署(該当する変更がある場合)
- 県税事務所(該当する変更がある場合)
- 年金事務所(適用事業所の場合)
一覧にしてみると、市役所以外にも確認先があることが分かりやすくなります。担当者の間で共有しておくと、抜け漏れを防ぎやすくなりますよ。
法人の移転手続きを考えている方へ
会社や事業所の移転は、荷物や取引先への連絡だけでも手一杯になりがちです。今日のうちに、提出先の一覧だけ紙に書き出しておくのはいかがでしょうか。
市役所だけで終わると思っていた手続きが、実はいくつも枝分かれしていると知って、わたし自身も驚いた経験があります。早めに全体を見ておくと、後から慌てずに済むと感じています。
移転が決まったタイミングで、この記事を見返してもらえたらうれしいです。落ち着いて手続きを進める時間になったらうれしいです。













